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問い合わせフォームの最低限のセキュリティ対策!

なぜ問い合わせフォームにセキュリティ対策が必要なのか

ホームページの問い合わせフォームは、顧客との重要な接点であり、ビジネスにおいて欠かせない存在です。

しかし同時に、氏名・メールアドレス・電話番号といった個人情報を取り扱う場所でもあるため、適切なセキュリティ対策を施さなければ大きなリスクを抱えることになりますよ。

「うちは小さな会社だから狙われない」と考える方もいるかもしれませんが、実際には中小企業こそがサイバー攻撃の格好の標的となっているのが現実です。

最低限のセキュリティ対策を実施することで、企業の信頼を守り、顧客に安心して問い合わせをしてもらえる環境を整えることができます。

個人情報を扱うフォームは狙われやすい

問い合わせフォームが攻撃者に狙われる理由は明確です。

顧客の個人情報という価値ある情報が集まる場所だからですよ。

名前・メールアドレス・電話番号・住所といった情報は、詐欺行為や不正なマーケティング活動に悪用される可能性があります。

また、フォームのセキュリティが脆弱だと、そこから社内システム全体への侵入口として利用されるケースもあるんです。

特に、セキュリティ対策が不十分な中小企業のWebサイトは、大企業と比べて「攻撃しやすい標的」として認識されています。

実際、警察庁の調査によれば、中小企業を狙ったサイバー攻撃は年々増加傾向にあります。

セキュリティ事故が企業に与える影響

問い合わせフォームから個人情報が漏洩した場合、企業が受ける影響は計り知れません。

まず、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージが大きく損なわれます。

さらに、個人情報保護法に基づく行政処分や損害賠償請求のリスクもありますよ。

2020年に船橋市で発生した事例では、問い合わせフォームが悪用されて不正なメールが送信され、市のメールサーバーがブラックリストに登録される事態となりました。

このような事故が起きると、復旧対応や謝罪対応に多大な時間とコストがかかり、本来の業務に集中できなくなってしまいます。

だからこそ、最低限のセキュリティ対策を事前に実施しておくことが、企業を守るために不可欠なのです。

問い合わせフォームに潜む3つの主なセキュリティリスク

問い合わせフォームには、いくつかの代表的なセキュリティリスクが存在します。

ここでは、特に警戒すべき3つのリスクについて詳しく見ていきましょう。

不正アクセスによる情報漏洩

最も深刻なリスクが、第三者による不正アクセスです。

問い合わせフォームから送信されたデータは、通常データベースに保存されますが、このデータベースへのアクセスが適切に保護されていないと、攻撃者に個人情報を盗み見られる危険性があります。

特に、SSL化(暗号化通信)が実装されていない場合、フォームから送信される情報が通信経路上で傍受される可能性がありますよ。

また、管理画面のログインパスワードが単純だったり、複数のサービスで使い回されていたりすると、簡単に突破されてしまいます。

川崎市では2023年に、問い合わせフォーム運営会社の人的ミスにより約3,000件の個人情報が削除され、うち160件はバックアップもなく復旧できない事態となりました。

このように、技術的な脆弱性だけでなく、運用面でのミスも情報漏洩につながることを認識しておく必要があります。

データの改ざん

攻撃者がシステムに侵入すると、保存されているデータを改ざんするリスクがあります。

たとえば、問い合わせ内容を書き換えられたり、顧客情報を変更されたりする可能性がありますよ。

さらに悪質なケースでは、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃により、フォームに悪意のあるスクリプトを埋め込まれ、訪問者を不正なサイトへ誘導される事態も発生しています。

2022年には、このクロスサイトスクリプティングに関する脆弱性の相談が最も多く報告されました。

データが改ざんされると、正確なビジネス判断ができなくなるだけでなく、顧客との信頼関係も崩れてしまいます。

スパムメールやBOT攻撃

問い合わせフォームは、スパムメールを大量送信する手段として悪用されるケースも多くあります。

自動化されたBOT(ロボット)プログラムが、フォームを通じて何百、何千というスパムメッセージを送信し、メールサーバーに過剰な負荷をかけることがあるんです。

これにより、正規の問い合わせメールが埋もれてしまったり、サーバーがダウンしたり、最悪の場合はメールサーバーのIPアドレスがスパム送信元としてブラックリストに登録されてしまいます。

一度ブラックリストに登録されると、正規のメールも相手に届かなくなり、ビジネスに深刻な影響を及ぼしますよ。

スパム対策を行わないまま放置すると、日々大量の迷惑メールに対応する時間とコストが発生することになります。

最低限実施すべき技術的セキュリティ対策

問い合わせフォームの安全性を確保するために、最低限実施すべき技術的な対策を解説します。

これらは専門的な知識がなくても導入できるものが多いので、ぜひ確認してみてください。

SSL化(HTTPS化)で通信を暗号化する

SSL化は、問い合わせフォームのセキュリティ対策において最も基本的かつ重要な施策です。

SSLとは、Webサイトと閲覧者の間の通信を暗号化する技術で、これを導入することで第三者による情報の盗み見を防ぐことができますよ。

SSL化されたサイトは、URLが「http://」から「https://」に変わり、ブラウザのアドレスバーに鍵マークが表示されます。

現在では、SSL化されていないサイトにアクセスすると「このサイトは安全ではありません」という警告が表示されるため、訪問者の信頼を失う原因にもなります。

SSL証明書は無料のものから有料のものまであり、Let’s Encryptなどの無料サービスを利用すれば、コストをかけずに導入できます。

多くのレンタルサーバーでは、管理画面から簡単にSSL化の設定ができるようになっていますので、まだ対応していない場合は最優先で実施しましょう。

フォーム送信時の入力検証を実装する

問い合わせフォームには、適切な入力検証(バリデーション)を実装することが重要です。

入力検証とは、ユーザーが入力したデータが正しい形式かどうかをチェックする仕組みのことですよ。

たとえば、メールアドレス欄に不正なスクリプトコードが入力されないようにしたり、電話番号欄に数字以外の文字が入力された場合はエラーを表示したりします。

これにより、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングといった攻撃手法を防ぐことができます。

特に、データベースに直接アクセスするような仕組みの場合、入力検証が不十分だと、悪意のあるSQLコードを実行されてデータを盗まれる危険性があります。

フォーム作成ツールやCMSのプラグインを使用する場合は、こうした検証機能が標準で備わっているものを選ぶと安心です。

reCAPTCHAなどのBOT対策を導入する

スパムBOTによる自動攻撃を防ぐためには、reCAPTCHAなどの認証システムの導入が効果的です。

reCAPTCHAは、Googleが提供する無料のサービスで、「私はロボットではありません」というチェックボックスや、画像認証を通じて、送信者が人間かBOTかを判別します。

最新版のreCAPTCHA v3では、ユーザーの行動パターンを分析して自動的にBOTを検知するため、訪問者に余計な手間をかけることなくスパム対策ができますよ。

他にも、確認画面を設置してワンクッション挟むことで、BOTの自動送信を防ぐ方法もあります。

また、ハニーポット(おとりフィールド)という手法もあり、人間には見えないがBOTには見えるフィールドを設置することで、そこに入力があった場合はBOTと判断してブロックする仕組みです。

複数の対策を組み合わせることで、より強固なスパム防止体制を構築できます。

アクセス制限とIPアドレスフィルタリング

特定の国や地域からの不正アクセスが多い場合は、IPアドレスによるアクセス制限が有効です。

たとえば、日本国内向けのビジネスであれば、海外からのアクセスを制限することで、不正な攻撃の多くを防ぐことができますよ。

また、明らかにスパムメールを送信してくる特定のIPアドレスやドメインからのアクセスをブロックすることも可能です。

ただし、アクセス制限の設定は記述ミスがあると正規のユーザーもアクセスできなくなる可能性があるため、実施する際は専門知識のある担当者やエンジニアに相談することをおすすめします。

レンタルサーバーやファイアウォールの設定画面から、比較的簡単に国単位でのアクセス制限ができるサービスも増えていますので、自社の環境に合わせて検討しましょう。

個人情報保護のための運用ルール

技術的な対策だけでなく、個人情報を適切に取り扱うための運用ルールも最低限のセキュリティには欠かせません。

ここでは、問い合わせフォームで個人情報を扱う際に守るべき基本的なルールを解説します。

プライバシーポリシーの明記と同意取得

問い合わせフォームで個人情報を収集する際には、プライバシーポリシー(個人情報保護方針)を明記し、ユーザーから同意を得ることが法律で義務付けられています。

プライバシーポリシーには、どのような個人情報を収集するのか、その目的は何か、第三者への提供はあるのか、といった内容を明確に記載する必要がありますよ。

フォームの送信ボタンの近くに「個人情報の取り扱いに同意する」といったチェックボックスを設置し、チェックを入れなければ送信できない仕組みにすることが一般的です。

これにより、個人情報保護法の要件を満たすだけでなく、ユーザーに対して「この企業はきちんと個人情報を管理している」という安心感を与えることができます。

プライバシーポリシーのひな形は、インターネット上で多数公開されていますので、自社の状況に合わせてカスタマイズして使用しましょう。

収集する個人情報を必要最小限にする

問い合わせフォームで収集する個人情報は、目的達成に必要な最小限の項目に絞ることが重要です。

不要な情報まで収集すると、それだけ情報漏洩時のリスクが高まりますし、ユーザーも入力を面倒に感じてフォーム送信を諦めてしまう可能性があります。

たとえば、簡単な資料請求であれば、氏名とメールアドレスだけで十分な場合もありますよ。

住所や電話番号、生年月日などは、本当に必要な場合にのみ収集するようにしましょう。

また、必須項目と任意項目を明確に区別し、ユーザーが自分で情報提供の範囲を判断できるようにすることも大切です。

個人情報を最小限にすることは、セキュリティリスクの軽減だけでなく、フォームのコンバージョン率(送信完了率)向上にもつながります。

データの保管期間と削除ルールを定める

収集した個人情報をいつまで保管し、いつ削除するのかのルールを明確に定めておくことも重要です。

個人情報保護法では、利用目的が達成された後は速やかに個人情報を削除または匿名化することが求められています。

たとえば、問い合わせ対応が完了した後、一定期間(1年間など)経過したデータは自動的に削除する運用ルールを設けましょう。

データを長期間保管し続けると、それだけセキュリティリスクが高まりますし、管理コストもかかりますよ。

また、本人から削除依頼があった場合には、速やかに対応できる体制を整えておくことも必要です。

データの削除を手作業で行うと漏れが生じる可能性があるため、可能であれば自動削除の仕組みを導入することをおすすめします。

アクセス権限の適切な管理

問い合わせフォームに送信された個人情報にアクセスできる社員を限定し、適切な権限管理を行うことも最低限のセキュリティ対策として重要です。

全社員が自由にアクセスできる状態では、情報漏洩のリスクが高まりますし、内部不正の温床にもなりかねません。

問い合わせ対応に必要な担当者だけがアクセスできるよう、管理画面のログインアカウントを個別に発行し、それぞれに適切な権限を設定しましょう。

また、退職者や担当変更があった場合には、速やかにアカウントを削除または権限を変更することも忘れずに行ってください。

アクセスログを記録しておくことで、誰がいつどのデータにアクセスしたかを追跡できるようにしておくと、万が一の際の原因究明に役立ちますよ。

すぐに始められる基本的なセキュリティチェックリスト

最低限のセキュリティ対策が実施されているか、以下のチェックリストで確認してみましょう。

まず、技術面のチェック項目です。

WebサイトがSSL化(HTTPS化)されているかを確認してください。

アドレスバーに鍵マークが表示され、URLが「https://」で始まっていれば問題ありません。

次に、フォームにreCAPTCHAなどのBOT対策が実装されているかをチェックしましょう。

また、メールアドレスや電話番号欄に不正な文字が入力できないような入力検証が機能しているかも重要です。

運用面では、プライバシーポリシーがフォーム上で明示され、同意を得る仕組みがあるかを確認してください。

収集している個人情報の項目が必要最小限になっているか、不要な情報まで取得していないかも見直しましょう。

データの保管期間と削除ルールが明文化されており、実際に運用されているかも確認が必要ですよ。

フォームデータにアクセスできる社員が適切に限定され、アカウント管理が行われているかもチェックポイントです。

定期的にこれらの項目をチェックし、改善を続けることで、問い合わせフォームのセキュリティレベルを維持・向上させることができます。

セキュリティ対策ツールの選び方

問い合わせフォームを自社で一から構築するのは、技術的なハードルが高く、セキュリティ対策も不十分になりがちです。

そこでおすすめなのが、セキュリティ対策が標準装備されたフォーム作成ツールを活用する方法ですよ。

ツールを選ぶ際のポイントとして、まずSSL化が標準対応しているかを確認しましょう。

次に、スパム対策機能(reCAPTCHA対応など)が備わっているかも重要です。

また、入力検証機能やデータの暗号化保存、定期的なバックアップ機能があるかもチェックしてください。

さらに、ISO 27001(ISMS)やプライバシーマークなどのセキュリティ認証を取得しているサービスであれば、より信頼性が高いといえます。

formrunやGoogleフォーム、kintoneなど、多くのクラウド型フォームサービスは、これらのセキュリティ機能を標準装備しています。

無料プランから利用できるサービスも多いので、まずは試してみて、自社のニーズに合うかを確認するのが良いでしょう。

ただし、無料プランでは機能やサポートが制限されている場合もあるため、重要な問い合わせを扱う場合は有料プランの検討も視野に入れてくださいね。

まとめ:基本を押さえて安全な問い合わせ環境を構築しましょう

問い合わせフォームのセキュリティ対策は、決して難しいものではありません。

最低限のセキュリティ対策として、SSL化・入力検証・BOT対策・アクセス制限という技術面の4つの基本と、プライバシーポリシーの明記・情報の最小化・削除ルール・権限管理という運用面の4つの基本を押さえるだけで、大部分のリスクを回避することができますよ。

完璧なセキュリティ体制を一度に構築する必要はありませんが、何も対策しないまま放置すれば、いつか必ず問題が発生します。

まずは今日から、この記事で紹介した基本的なセキュリティ対策を一つずつ実施していきましょう。

特にSSL化とプライバシーポリシーの設置は、コストも手間もほとんどかからず、すぐに実行できる対策です。

もし自社での対応が難しい場合は、セキュリティ機能が充実したフォーム作成ツールを活用することで、専門知識がなくても安全な問い合わせ環境を構築できます。

顧客の大切な個人情報を守ることは、企業としての責任であり、信頼を築くための基盤でもあります。

最低限のセキュリティ対策をしっかりと実施して、顧客が安心して問い合わせできる環境を整えていきましょう。

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