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業界別NG表現完全ガイド!法律違反を避けるホームページ制作の鉄則

ホームページ制作で絶対に避けたい!業界別NG表現の落とし穴

ホームページを制作する際、魅力的な表現で商品やサービスをアピールしたいと考えるのは当然のことです。

しかし、業界ごとに法律で厳しく規制されている表現があり、知らずに使用してしまうと法律違反となり、罰則を受けるだけでなく企業の信頼も失ってしまいますよ。

本記事では、ホームページ業界に携わる皆さんが押さえておくべき「業界別のNG事項」を徹底解説します。

景品表示法や薬機法といった重要な法律から、各業界特有の禁止表現、価格表記のルール、そして誤解を招く言い回しまで、実務で即活用できる情報をまとめました。

これからホームページを制作する方も、既存サイトを見直したい方も、ぜひ最後までお読みください。

なぜ業界別のNG事項を知る必要があるのか

ホームページ制作において、業界別のNG事項を理解することは、単なる法令遵守だけの問題ではありません。

不適切な表現を使用してしまうと、行政処分や課徴金の対象となるだけでなく、企業イメージの大幅な低下を招き、長年かけて築いてきた信頼関係が一瞬で崩れてしまう可能性があるのです。

特に現代では、SNSでの情報拡散スピードが非常に速く、一度「法律違反をした企業」というレッテルを貼られてしまうと、その影響は計り知れません。

また、2024年10月からは景品表示法の改正により、優良・有利誤認表示に対する直罰規定が新設され、違反した場合には100万円以下の罰金が科される可能性も出てきました。

業界ごとに異なる規制を正しく理解し、適切な表現を心がけることが、企業を守る第一歩となりますよ。

押さえておきたい2つの重要法律

景品表示法(景表法)とは

景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」といい、一般消費者の利益を保護することを目的としています。

この法律では、消費者が商品やサービスを選ぶ際に、実際よりも優れていると誤解させるような表示や、過大な景品提供を禁止しています。

景品表示法の特徴は、対象商品のカテゴリが限定されていないことです。

つまり、あらゆる業界の商品・サービスが規制対象となり、ホームページ上の表示も当然含まれます。

違反すると措置命令や課徴金納付命令が下され、売上額の3%(再犯の場合は4.5%)が課徴金として賦課されますので注意が必要です。

薬機法(医薬品医療機器等法)とは

薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で、医薬品等の品質や安全性を確保することを目的としています。

規制対象は医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品ですが、重要なのは対象外の商品(食品や雑貨など)が医薬品であるかのような誤認を与える表示も規制されるという点です。

薬機法の特徴は「何人(なんぴと)規制」と呼ばれ、事業者だけでなく、広告代理店やアフィリエイターなど、誰であっても規制の対象となります。

違反した場合は、最悪2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課される可能性があり、非常に厳しい罰則が設けられていますよ。

全業界共通で注意すべきNG表現

虚偽表現・誇大表現は絶対NG

どの業界においても、事実と異なる内容や過度に誇張した表現を使用することは禁止されています。

例えば、果汁100%ではないジュースに「果汁100%」と表示したり、機械生産の商品を「職人の手作り」と表現することは明確な虚偽表現です。

また、他の製品にも備わっている機能なのに「この操作ができるのはこの機種だけ」と表現することも誇大広告に該当します。

消費者に対して正確な情報を提供することが、信頼関係構築の基本ですよ。

最上級表現の使用には明確な根拠が必要

「日本一」「最高」「最小」「ナンバーワン」「世界初」といった最上級表現は、客観的な根拠なしには使用できません。

根拠がある場合でも、その事実を合わせて表示しなければ景品表示法違反となります。

特にNO.1表示については、①客観的な調査に基づいている、②調査結果を正確かつ適正に引用している、という2点を満たさない場合は優良誤認表示に該当する恐れがあります。

消費者庁も不当なNO.1表示に対して度々措置命令を出しており、問題視されている表現の一つです。

比較表現も根拠が必須

他社より優れていることを示す「業界最安値」「他社サービスよりも速い」といった比較表現も、客観的根拠がなければ使用できません。

使用する場合は、比較の基準や調査方法を明示することが求められます。

また、他社製品を誹謗するような表現は、薬機法で明確に禁止されていますので、絶対に避けましょう。

完璧表現・保証表現の危険性

「絶対」「完全」「完璧」「永久」「100%」といった断定的な表現は、実現が難しいため使用してはいけません。

また、「必ず効果が出る」「確実に痩せる」といった保証的な表現も、薬機法や景品表示法で禁止されています。

これらの表現は消費者に過度な期待を抱かせ、トラブルの原因となりますので注意が必要です。

健康食品・美容・化粧品業界のNG事項

効果効能の表現は厳格に規制

健康食品や化粧品業界では、薬機法による厳格な規制があります。

医薬品ではない健康食品に対して「腸内を活性化」「便秘が治る」「アトピーが治る」といった疾病の治療や予防を目的とした表現は一切禁止です。

また、化粧品についても承認された効能効果の範囲内でしか表現できません。

「シミ・シワ取りに効果絶大」といった表現は、たとえ実際に効果があったとしても、医薬品としての承認を得ていない限り使用できませんよ。

体験談やお客様の声にも規制がある

第三者の体験談やお客様の声として掲載する場合でも、効果効能を表現することは禁止されています。

「飲み始めて1週間で体重が5kg減りました」といった具体的な効果を示す体験談は、薬機法違反となる可能性が高いです。

体験談を掲載する際は、「個人の感想です」と明記し、効果効能に触れない範囲で表現することが求められます。

使用できる表現の範囲を理解する

健康食品の場合、「栄養補給」「健康維持」「美容サポート」といった範囲内であれば表現可能です。

また、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として届出をしている場合は、認められた範囲内での効果表現が可能になります。

化粧品では「肌を整える」「うるおいを与える」「ハリを与える」といった56項目の効能効果が認められています。

業界特有のルールをしっかり理解し、適切な表現を選びましょう。

不動産業界のNG事項

不動産の表示に関する公正競争規約

不動産業界には、景品表示法に基づく「不動産の表示に関する公正競争規約」という自主規制ルールがあり、非常に細かく禁止用語が定められています。

「完全」「完璧」「絶対」といった全く欠陥がないことを意味する用語や、「日本一」「抜群」「当社だけ」といった他社より優位に立つことを意味する用語は原則使用禁止です。

また、「特選」「厳選」といった一定の基準により選別されたことを意味する用語も、合理的な根拠がなければ使用できません。

価格表現の注意点

不動産広告では、「格安」「激安」「破格」といった価格に関する表現も、それを裏付ける合理的根拠がなければ使用禁止です。

根拠がある場合でも、その根拠を明示する必要があります。

また、「完売」など著しく人気が高く売れ行きが良いという印象を与える用語についても、実態を伴わない場合は不当表示となりますよ。

おとり広告の危険性

不動産業界で特に注意が必要なのが「おとり広告」です。

実際には取り扱いのない物件や、既に売約済みの物件を掲載し続けることは、景品表示法で明確に禁止されています。

物件情報は常に最新の状態に保ち、成約後は速やかに掲載を取り下げることが重要です。

求人・採用業界のNG事項

年齢制限の表現は原則禁止

2007年の雇用対策法(現在は労働施策総合推進法)改正により、求人広告における年齢制限は原則禁止となりました。

「35歳以下」「40代活躍中」「若手募集」といった年齢を想起させる表現は使用できません。

ただし、長期勤続によるキャリア形成を図る場合など、一定の条件を満たせば例外的に年齢制限が認められるケースもあります。

その場合は、例外事由を明示する必要がありますよ。

性別による差別表現も禁止

男女雇用機会均等法により、性別を理由とした差別的な表現は禁止されています。

「男性限定」「女性歓迎」といった直接的な表現はもちろん、「ウェイトレス」「営業マン」といった職種名から性別が想起される表現も避けるべきです。

また、「体力のある男性歓迎」といった間接的に性別を限定する表現も不適切とされています。

その他の禁止表現

国籍、人種、民族、宗教、出身地などによる差別的表現も労働基準法で禁止されています。

また、実際の労働条件と異なる好条件を提示することや、最低賃金を下回る条件提示も法律違反です。

求人広告では、正確かつ公平な情報提供が何よりも重要となります。

金融業界のNG事項

金融商品取引法による厳格な規制

金融業界では、金融商品取引法により、利益の見込みや損失リスクに関する表現が厳格に規制されています。

「必ず儲かる」「元本保証」「リスクゼロ」といった断定的な表現は絶対に使用できません。

また、「高利回り確実」「安定した高収益」といった表現も、著しく事実に相違する、または人を誤認させる表示として規制対象となります。

リスク情報の明示義務

金融商品の広告では、メリットだけでなくリスク情報も適切に開示する義務があります。

手数料や為替リスク、元本割れの可能性など、消費者が判断に必要な情報を明確に記載しなければなりません。

リスク情報を小さな文字で目立たない場所に記載することも、不適切な表示とみなされる可能性がありますよ。

医療業界のNG事項

医療法による広告規制

医療業界では、医療法に基づく「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」により、表現が厳しく制限されています。

「絶対に安全」「若返り」「芸能人も通っている」「満足度100%」といった根拠のない主観的な表現は禁止です。

また、「当院が最も効果的」「他院より優れている」といった比較表現も使用できません。

ビフォーアフター写真の掲載制限

美容医療などで使用されるビフォーアフター写真についても、誤解を招く可能性があるため、掲載には慎重な配慮が必要です。

写真を掲載する場合は、治療内容、費用、リスク、副作用などの詳細情報を併記することが求められます。

飲食業界のNG事項

食品表示法と健康増進法

飲食業界では、食品表示法や健康増進法による規制があります。

「体に良い」「健康になる」「ダイエット効果」といった健康への効果を標榜する表現は、根拠がなければ健康増進法違反となります。

また、原材料や産地に関する虚偽表示も食品表示法違反となりますので注意が必要です。

メニュー表示の注意点

「特選」「厳選」「高級」といった表現を使用する場合は、その根拠を明確にする必要があります。

また、写真と実際の料理が著しく異なる場合も、優良誤認表示として問題となる可能性がありますよ。

価格表記の注意点:二重価格表示のルール

二重価格表示とは

二重価格表示とは、販売価格と比較対照価格(通常価格、定価など)を並べて表示し、値引き幅をアピールする手法です。

適正に行われれば消費者の商品選択に役立ちますが、比較対照価格に根拠がない場合は有利誤認表示として景品表示法違反となります。

過去の販売価格を使う場合の8週間ルール

過去の販売価格を比較対照価格とする場合、その価格で販売していた期間が2週間以上あり、かつ値下げ後8週間以内である必要があります。

これは「8週間ルール」と呼ばれ、実態のない価格を比較対照価格として使用することを防ぐための基準です。

常に同じ価格で販売しているのに「今だけ特価」と表示することは、明確な法律違反となりますよ。

希望小売価格を使用する際の注意点

メーカーが設定した希望小売価格を比較対照価格とする場合、その価格が実際に市場で機能している必要があります。

勝手に希望小売価格を設定して比較対照価格として使用することや、大半の小売店が希望小売価格より安く販売している場合に使用することは不当表示となります。

違反した場合のリスクと罰則

景品表示法違反の場合

景品表示法に違反した場合、まず行政指導が行われ、改善が見られない場合は措置命令が下されます。

措置命令では、違反行為の中止、消費者への周知、再発防止策の実施などが命じられ、その内容は報道発表されます。

さらに、違反行為に係る商品の売上額3%(再犯の場合は4.5%)が課徴金として賦課され、最近では10億円を超える課徴金納付命令が下された事例もあります。

2024年10月からは直罰規定も導入され、優良・有利誤認表示に対して100万円以下の罰金が科される可能性も出てきましたよ。

薬機法違反の場合

薬機法に違反した場合、行政指導、措置命令に加え、刑事罰が科される可能性があります。

誇大広告に対しては、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が規定されており、法人の場合は1億円以下の罰金となることもあります。

また、課徴金納付命令では、対象期間に取引された医薬品等の対価の合計額の4.5%が課徴金として賦課されます。

企業イメージの低下というリスク

法的な罰則以上に深刻なのが、企業イメージの低下です。

措置命令は報道発表されるため、「法律違反をした企業」として広く認識されることになります。

特に現代ではSNSでの情報拡散が非常に速く、一度失った信頼を取り戻すことは極めて困難です。

長年かけて築いてきたブランド価値が一瞬で失われるリスクがあることを、常に意識しておく必要がありますよ。

自社ホームページのチェックリスト

表現チェックのポイント

自社のホームページが適切な表現になっているか、以下のポイントでチェックしましょう。

最上級表現や比較表現を使用している場合、客観的な根拠が明示されているか確認してください。

「絶対」「完璧」「必ず」といった断定的な表現が使われていないかもチェックが必要です。

効果効能に関する表現が、業界の規制範囲内に収まっているかも重要なポイントとなります。

価格表示のチェック

二重価格表示を使用している場合、比較対照価格に根拠があるか確認しましょう。

「激安」「格安」「破格」といった価格表現を使用している場合は、その根拠を明示する必要があります。

また、キャンペーン期間や数量限定の場合、その旨を明確に記載することも忘れないでください。

定期的な見直しの重要性

法律や規制は改正されることがあるため、定期的にホームページの内容を見直すことが重要です。

特に薬機法や景品表示法は頻繁に運用基準が更新されますので、最新の情報をキャッチアップする体制を整えましょう。

不安な表現がある場合は、専門家に相談することも検討してくださいね。

まとめ:適切な表現で信頼されるホームページを

業界別のNG事項は、単なる法律のルールではなく、消費者との信頼関係を築くための重要な指針です。

景品表示法や薬機法といった法律は、消費者を誤解や不利益から守るために存在しており、これらを遵守することは企業の社会的責任でもありますよ。

健康食品業界では効果効能の表現、不動産業界では物件情報の正確性、求人業界では年齢や性別による差別的表現、金融業界では断定的な利益表現、医療業界では主観的な優位性表現、飲食業界では健康効果の標榜など、各業界に特有の規制があります。

また、価格表記においても二重価格表示の8週間ルールなど、具体的な基準が定められています。

これらのルールを正しく理解し、適切な表現を心がけることで、法的リスクを回避できるだけでなく、消費者からの信頼も獲得できます。

今一度、自社のホームページを見直し、不適切な表現がないか確認してみましょう。

不安な点があれば専門家に相談し、常に最新の規制情報をキャッチアップする姿勢が大切です。

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