格安ホームページ制作の落とし穴!価格が安い会社の注意点と見極め方
価格が安い会社を選ぶ前に知っておくべき現実
ホームページ制作を検討する際、どうしても「できるだけ安く済ませたい」という気持ちが働くものです。
複数の制作会社から見積もりを取って、最も安い会社に決めようと考えている方も多いのではないでしょうか。
確かに、予算を抑えることは経営上重要な判断ですよね。
しかし、価格が安い会社には必ず理由があります。
その理由を理解せずに発注してしまうと、完成したホームページが全く成果を出せないばかりか、後々さらに高額な費用が発生する事態にもなりかねません。
実際、格安でホームページを制作した結果、修正やリニューアルで余計なコストがかかり、結局は高くついてしまったというケースは業界内で数え切れないほど存在します。
この記事では、ホームページ制作業界の実態を踏まえ、価格が安い会社を選ぶ際に絶対に知っておくべき注意点と、最低限クリアすべき品質ラインを詳しく解説していきます。
なぜ価格が安くできるのか:そのカラクリを理解する
まず理解しておきたいのは、ホームページ制作における原価の99%は「人件費」だということです。
素材やデザインはすべてデジタルデータですから、物理的な仕入れコストはほぼゼロです。
つまり、価格を下げる唯一の方法は「人件費を削減する」ことなのです。
通常、ホームページ制作には以下の3つの専門職が関わります。
ディレクター(現場監督)の役割
プロジェクト全体を管理し、クライアントとの打ち合わせや要件定義、進行管理を担当します。
サイトの企画設計やスケジュール管理も行い、デザイナーやエンジニアへの指示出しを行う重要なポジションです。
デザイナー(設計士)の役割
ホームページの見た目やレイアウト、配色、フォント選定などを行います。
企業のブランドイメージに合わせたオリジナルデザインを作成し、ユーザーが使いやすいインターフェースを設計します。
エンジニア(施工担当)の役割
HTMLやCSS、JavaScriptなどのプログラミング言語を使って、デザインを実際に動くWebサイトとして構築します。
サーバーの設定やセキュリティ対策、スマートフォン対応なども担当します。
格安のホームページ制作会社は、これら3つの職種のいずれか、あるいは全ての工数を大幅に削っているのです。
しかし、どれを削っても本来は立派なホームページにはなりません。
削減された人件費分の仕事は誰が担うのでしょうか。
答えは「依頼者であるあなた」です。
格安ホームページ制作会社に潜む5つのリスク
実際に格安制作会社に依頼して後悔した事例は数多く報告されています。
ここでは代表的な5つのリスクについて詳しく見ていきましょう。
デザインの自由度が極端に低い
格安制作の多くはテンプレートベースです。
あらかじめ用意された型に文字と写真を当てはめるだけなので、自由なカスタマイズができません。
「デザイン変更は1回まで」「このテンプレートから選んでください」といった制限が設けられていることがほとんどです。
サンプルサイトを見ると素敵に見えるかもしれませんが、それは使用している写真素材がプロのものだからです。
実際に自社の素材を当てはめてみると「何か違う…」となるケースが非常に多いのです。
しかも、その時点で修正を受け付けてもらえないという契約になっていれば、納得いかないまま公開することになってしまいます。
サポート体制が不十分で放置される
格安制作会社の多くは「薄利多売」のビジネスモデルです。
一件あたりの利益が少ないため、数をこなすことで収益を上げる必要があります。
そのため、制作後のサポートや細かな修正対応は後回しにされがちです。
実際にあった事例では、お問い合わせフォームが正常に機能していないことに気づかず、数年間も商談機会を逃し続けていたというケースもあります。
制作会社に連絡しても対応が遅い、あるいはぶっきらぼうな態度で取り合ってもらえないという話も少なくありません。
契約期間の縛りで結局高額になる
「初期費用0円」「制作費5万円」といった魅力的な価格設定の裏に、月額管理費や運用費が隠れているケースがあります。
例えば月額2万円で5年契約の場合、2万円×12ヶ月×5年=120万円もの費用を支払うことになります。
しかも契約期間の縛りがあり、途中解約すると高額な違約金が発生する契約になっていることも珍しくありません。
中小企業庁も、このようなホームページのリース契約について注意喚起を行っています。
クーリングオフ制度が適用されず、中途解約もできないため、非常に危険な契約形態なのです。
著作権やドメインの所有権トラブル
格安で制作したホームページの著作権が制作会社側に残ったままというケースも頻発しています。
著作権が譲渡されていない場合、サイトの修正や改変を行う際に必ず制作会社の許可が必要になります。
別の制作会社にリニューアルを依頼しようとしても、「デザインの著作権はこちらにある。使用したければ追加費用を支払え」と言われることもあるのです。
さらに深刻なのがドメインの所有権問題です。
「ドメインは我々の資産なので引き継ぎできません」と拒否され、新しいURLで一から始めなければならなくなった事例もあります。
これまで積み上げてきたSEO評価や認知度が全て失われてしまうのです。
運用段階での修正対応が困難
ホームページは公開してからが本番です。
営業時間の変更、新サービスの追加、スタッフ紹介の更新、ブログ記事の投稿など、継続的な更新作業が必要になります。
しかし格安制作の場合、テンプレートの制約により自由な修正ができなかったり、修正依頼に対して追加料金を請求されたり、対応そのものを断られることもあります。
制作会社側としては、格安で受注した案件の細かな修正対応は利益にならないため、積極的に対応したくないというのが本音なのです。
実際にあった失敗事例から学ぶ教訓
ここでは実際に報告されている具体的な失敗事例をご紹介します。
海外発注で文字化けしたサイト
人件費を抑えるために海外(中国やベトナムなど)に制作を外注する「オフショア開発」を採用している格安会社があります。
ある企業がこのような会社に依頼したところ、完成したサイトの一部が中国語の文字コードで記述されており、日本語の漢字によく似た中国語の漢字が混在して表示されてしまいました。
ビジネス用のホームページとしては信頼性に欠ける、非常に怪しい見た目になってしまったのです。
印刷会社の「ついで」サービスで後悔
印刷会社やシステム開発会社が本業の傍らでホームページ制作サービスを提供しているケースがあります。
ある企業が10万円でホームページを制作してもらいましたが、品質に満足できず別の会社にリニューアルを依頼しようとしました。
すると「ドメインは我々の資産なので引き継げない」と拒否され、さらに削除依頼も断られてしまいました。
結果として、新しいサイトを立ち上げた後も、検索結果には404エラーの古いサイトが長期間表示され続けるという事態になってしまいました。
システム会社で部署をたらい回し
システム開発が本業の会社にLPを30万円で依頼したところ、素人同然のクオリティのものが納品されました。
「お問い合わせが全く来ない」と相談しても、営業部門とシステム部門で責任をなすりつけ合い、誰も真剣に話を聞いてくれなかったという事例もあります。
これらの事例から分かるのは、ホームページ制作を本業としていない会社に依頼するリスクの高さです。
最低限クリアすべき品質ライン:7つのチェックポイント
それでも予算の制約から格安制作を検討せざるを得ない場合、以下の7つのチェックポイントを必ず確認しましょう。
これらをすべてクリアしていない会社への依頼は避けるべきです。
ホームページ制作が本業かどうか
印刷会社、映像制作会社、システム開発会社などが「ついで」にホームページ制作を行っているケースは要注意です。
制作会社のポートフォリオや事業内容を確認し、ホームページ制作を専門としているか、あるいは主要事業の一つとして位置づけているかを見極めましょう。
ドメインとサーバーの所有権
完成後、ドメインとサーバーの所有権が依頼者側に帰属するか、管理情報を共有してもらえるかを契約前に必ず確認してください。
「ドメイン移管の手続きに協力してもらえますか」と直接質問するのも有効です。
曖昧な回答しか得られない場合は危険信号です。
著作権の譲渡条件
制作したホームページのデザインやコンテンツの著作権が、検収後に依頼者側に完全譲渡されるか確認しましょう。
「著作者人格権も行使しない」という文言が契約書に含まれているかもチェックポイントです。
これがないと、将来的に他社へリニューアルを依頼する際に問題が発生します。
契約期間と解約条件
月額管理費に契約期間の縛りがないか、途中解約時に違約金が発生しないかを確認してください。
「いつでも解約できますか」「解約時の違約金はありますか」と明確に質問しましょう。
リース契約形式の場合は特に慎重な検討が必要です。
見積もりの透明性と追加費用の有無
見積書に記載されている項目が具体的で明確かを確認しましょう。
「一式」という曖昧な表現が多い見積もりは要注意です。
また、「どのような場合に追加費用が発生しますか」と質問し、隠れたコストがないか確認することが重要です。
修正回数の制限、ページ追加時の費用、画像差し替えの費用なども事前に明確にしておきましょう。
運用後のサポート範囲
公開後にどの程度のサポートを受けられるのか、具体的に確認してください。
軽微なテキスト修正は無料で対応してもらえるのか、どの程度の頻度で対応してもらえるのか、緊急時の連絡手段は確保されているのかなどを質問しましょう。
サポート体制が弱い会社は、運用段階で必ず苦労します。
実績と信頼性の確認
制作会社の設立年数や過去の制作実績を確認しましょう。
ポートフォリオを見せてもらい、自社の業種や目的に合った制作経験があるかをチェックしてください。
また、インターネットで会社名を検索し、評判や口コミを確認することも有効です。
悪い評判が目立つ場合は避けた方が無難です。
価格と品質のバランスを見極める方法
ホームページ制作の一般的な相場は、中小企業向けで30万円〜100万円程度です。
10万円〜30万円の価格帯は「格安」の部類に入ります。
この価格帯では、ほぼ確実にテンプレートベースの制作となり、カスタマイズの自由度は限られます。
しかし、すべての格安制作が悪いわけではありません。
格安でも良質なサービスを見極める質問
営業担当者に以下の質問を投げかけてみましょう。
「なぜこんなに安く提供できるのですか」と質問したとき、曖昧に「ノウハウがあるので」「効率化しているので」と答える会社は要注意です。
誠実な会社であれば「テンプレートを使用しているため」「デザインの自由度には制約がある」と正直に答えてくれます。
また、「御社のプランのデメリットを教えてください」と質問してみましょう。
メリットばかりを強調し、デメリットを認めようとしない営業担当者は信用できません。
「弊社の事業において、ホームページでまず何を行うことが重要ですか」という質問も効果的です。
自社製品を売り込むことしか考えていない営業担当者ではなく、あなたのビジネスに真剣に向き合ってくれる担当者かどうかを見極められます。
コストではなく投資として考える視点
ホームページは制作して終わりではなく、継続的に運用することで初めて成果が出るものです。
適切な予算をかけて集客効果の高いホームページを制作すれば、制作費以上の利益を生み出すことができます。
現在は、企業の購買担当者もインターネット検索で取引先を探す時代です。
競合他社が効果的なホームページを持っているのに、自社だけが低品質なサイトでは、新規顧客獲得の機会を失ってしまいます。
初期費用を抑えることだけに目を向けるのではなく、長期的な視点で「投資対効果」を考えることが重要です。
格安で制作した結果、成果が出ずに作り直すことになれば、結局は二重の費用がかかることになります。
それならば最初から適正な予算を確保し、信頼できる制作会社に依頼する方が、長期的には賢明な判断と言えるでしょう。
安さだけで選ばない、賢い会社選びを始めましょう
ここまで、価格が安い会社を選ぶ際の注意点と、最低限クリアすべき品質ラインについて詳しく解説してきました。
改めて重要なポイントをまとめます。
価格が安い理由は必ず存在し、その多くは人件費の削減によるものです。
削減された工数のしわ寄せは、依頼者であるあなたに回ってきます。
格安制作には、デザインの自由度の低さ、サポート不足、契約期間の縛り、著作権トラブル、運用時の対応困難という5つの代表的なリスクがあります。
どうしても格安で制作する必要がある場合でも、7つのチェックポイントをすべてクリアしている会社を選ぶことが最低限必要です。
ホームページは本業ですか、ドメインとサーバーの所有権は譲渡されますか、著作権は完全に譲渡されますか、契約期間の縛りや違約金はありませんか、見積もりは透明ですか、運用後のサポートはありますか、実績は十分ですか。
これらの質問に明確に答えられない会社への依頼は避けるべきです。
営業担当者の対応からも、会社の姿勢を見極めることができます。
デメリットを正直に説明してくれるか、あなたのビジネスに真剣に向き合ってくれるかを確認しましょう。
そして最も重要なのは、ホームページ制作を「コスト」ではなく「投資」として捉える視点です。
適切な予算をかけて質の高いホームページを制作すれば、それ以上の利益を生み出してくれます。
安さだけで選んで後悔するより、しっかりとした基準で会社を選び、長期的に成果を出せるホームページを手に入れましょう。
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